社会

今回の新型コロナウィルスの問題は単に新たなウィルスの脅威ばかりなく、世界規模での影響がこれほどまでに大きくなることは予想できなかった。まさにグローバル化によるウィルスの世界拡散である。ウィルスの感染規模の拡大は中国、韓国、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、スペイン・・・・日本と続く。アジア、EU、アメリカの相互依存は高く、人も含めた物流の往来は活発で、それはウィルスの拡散状況と一致している。

ビジネス

COVID-19の世界拡散によって、経済の停滞とダメージはリーマン・ショックを上回るレベルという。その中で注目するのはグローバル・サプライチェーンという言葉である。COVID-19の震源地でもある武漢にはアメリカ、日本、韓国の自動車産業やアップルなどのIT産業の生産工場が林立している。新型コロナウィルスによって生産と輸出入がストップしてしまい、ビジネス環境はかなり悪化している。そこでグローバル・サプライチェーンをドメスティック(自国内)に内製化してもよいのでは、という考え方も生まれてくる。

技術

現代は第4次産業革命と称される。5GとAIなどの先端技術は大きな可能性を秘めている。グローバル・サプライチェーンからドメスティック・サプライチェーンに移行するメリット、デメリットは幾つかある。まずメリットとしては今回のようなウィルスによるパンデミックや紛争、戦争などの負の外的要因からの回避がである。二つ目にコスト的な優位性によってグローバル・サプライチェーンが成り立つが、5GやAIなどの先端技術を今後の製品開発には欠かすことのできない要素技術になる。それはある意味で製品に新たな価値を付与することなので自国内で内製化してもコスト的に優位に立てるという見方である。

デザイン

 デザインの概念が広がり、デザインに対する見方も単にスタイリングや造形上の問題、使い易さなど、製品個別の問題ではなくなってきていることは共通に持つ認識だろう。製品開発や事業開発の川上での役割が期待され、現にアップルやダイソン、レクサスの展開を見ればデザインが企業戦略、ブランド価値、さらには企業価値まで関わる重要な経営資源と言える。一方、デザインは人間に寄り添い、人間や社会の問題、課題を解決する役割を担っている。実はアップルやダイソン、レクサスはデザインの本質的な課題と企業戦略やブランド価値を調和させているところがエクセレントと言えるだろう。これからのデザインのムーブメントはより社会的な問題、課題をいかに解決していくのかに向かっていくだろう。これは今回のCOVID-19のパンデミックがグローバル社会、都市、企業、個人の脆弱さを露わにしたことからも予見できるだろう。そのような意味で、企業や地域(リージョン)、個人の様々なフェーズでのデザイン活動が意味を持ち、重要となってくるだろう。

教育

ソーシャルデザインにおいて果たさなければならない教育とは何か?ひとつは社会に日々生起する問題や課題を自分のものとして受容する力であろう。例えば、今回のCOVID-19のようにウィルスへの対応は国家レベルであり国際的レベルでもある。しかし、つまるところ個人に帰着し、個人の意識と振るまいが、感染を高めたり低めたりするのである。私たち人間は都市という人工的な環境において万能であるが、そこから少し外れてしまうと、何をどのようにしてよいのか皆目見当がつかなくなってしまうのである。スマートフォンがなければ、自分の行動が見えなくなってしまうのである。つまりイマジネーションの欠如、創造性の欠如が予期せぬ災害に対して致命的と言えるだろう。

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